中国越境ECについて
2016.09.05
越境とは境界線や国境を越えること。つまり越境ECとは国境を跨いだ電子商取引を指します。
日本でも以前から海外サイトより購入し、国際配送で受け取ることは有りましたが、最近の越境ECはターゲット国向けにターゲット国語でサイトを用意するものが多くなっています。
1.海外サイト利用、国際配送
日本でも良く利用されていたパターンです。海外サイトに注文し、EMS等の海外配送手段を用いて受け取ります。
2.自由貿易区利用
上海などに設置されている自由貿易試験区を利用します。自由貿易試験区は域外と定義されるため、試験区内の倉庫は保税倉庫となります。そのため、いったん保税倉庫に商品をローディングし、個別出荷都度の個別通関が可能になっています。このスキームを利用する事により、海外サイト利用に比べ、配送コストおよび配送リードタイムを圧縮できます。
中国では2016年4月8日から輸入関税の改正を行いました。
日本の報道などを見ると『爆買い対策』などの表現で、ネガティブなイメージのようですが、越境ECに対しての影響はそれほど無いのでは?と思われます。
改正後のおもな内容は以下のようになります。
・越境ECに課せられていた行郵税を廃止する。
・関税、輸入増値税、消費税を適用する。ただし、『暫定的に』関税は無税、輸入増値税と消費税は一般貿易の70%とする。
・1回あたりの取引限度額を2,000元とする。
・年間取引上限を2万元とする。
具体的に見ていくと、
・行郵税が10%だった『食品、健康食品、雑貨など』は増税
・行郵税が20%だった『アパレル、電化製品など』は251元以上の商品は減税
・行郵税が50%だった『化粧品など』は101元以上の商品は減税
以上のように、価格の高い商品は(一般貿易扱いにならない限り)減税になります。
一方、『爆買い』(インバウンド消費)に対する影響ですが、改正後の規定が厳密に適用されるようであれば確かに影響は有ると思われます。
しかしながら、改正後約1ヶ月経過した段階では以下の状態のようです。
2016年5月2日の毎日新聞の記事から引用します。
北京首都国際空港では関税引き上げ後も、スーツケースや段ボールをいっぱいに抱えた旅行客であふれる光景に変わりはない。金融関係の会社に勤める呂鵬さん(30)は1週間の日本旅行から帰国したが、スーツケースを開けられることもなかったといい「関税が引き上げられても影響はない」と話す。
上記のように現場での適用がなされておらず、実質牽制球にしかなっていないようです。
中里